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メディア掲載

2025年7月11日 17:16 NEWS-ニュースリリース

少し前にはなりますが、ファッション販売2.3月号に掲載されました。

この度アールアイシー様に取材していただき上記紙面に掲載していただきました。

ありがとうございます。

 

以下、掲載記事文章です。

 

コアバリューを見つめ直しV字改革につなげる

「セレクトショップLisa(リサ)」は、奈良県北西部の郊外に売場面積16坪の路面店を構えている。1996年の開業以来(最初の5年間は雑貨店として大阪で営業、2001年に現在地に移転アパレルに転向)、大人の女性に向けた着こなし提案で顧客を増やしてきた。昨年(2024年度)の売上高は約1億円(見込み)と高く、これはなんと前年比2.5倍である。コロナ明けで顧客が一斉に帰ってきたから、と考えられがちだが、実はそうではない。

同店はコロナ禍が始まると、ファッション市場全体の状況とは逆に売り上げが急伸。しかし22年秋に行動制限が解除された直後に、これも市場とは逆に売り上げが激減したのである。

同店が昨年、どのようにしてV字回復を果たしたかを紹介する前に、それまでの業績の流れを見ることにしよう。

 

順調な経営が一変した

Lisaはオーナーである松田リサさんの高い商品セレクト力を背景に、開業以来、毎年コンスタントに売り上げを伸ばしてきた。10年程前からは他店に先駆けてECとSNSに特化し、ファン層を拡大。それは、当時の客層と当店の立地(郊外で人口が少なく、駅前や商業施設でもないための集客力の低さ)を考えた時に未来は明るくないとの松田さんの予測からである。更にモデル体型の松田さん自身が着用している画像は商品の良さが伝わりやすく、売上増加につながったと考えられる。

ほとんどの店がコロナ禍による外出制限で客数を激減させているなか、LisaはECを軸に売上を前年対比120~130%と大きく伸ばしていった。ところが先述したように、コロナ禍がひと息ついたとたん、市場全体の流れとは逆に客数、売上ともに激減。他店にお客が帰ってきている中で、同店の売上は逆にコロナ前よりも下がってしまった。SNSや宣伝に力を入れるなど、松田さんは懸命に対策を講じた。しかし何の効果もなく、売上は昨対60%程度まで減少した。

「消費の流れが変わってしまったんだなと思いました。世の中の変化が速すぎて、これまでの業界の常識ややり方が一切通用しないと痛感しました。同時にアパレル業界の閉塞感みたいなものも感じたのです。」(松田さん、以下同)

「正直、めちゃくちゃ苦悩しました。辛かったです。それまで小さい店ながら自分ひとりで考えて売上を伸ばしてきた自負もありましたから、速すぎる変化に何をしても歯が立たず、自信を失い、これまで自分が築き上げてきたものはなんだったんだとうかと、崩れそうになってしまいました。」

そこで松田さんは、経営そのもののあり方、考え方を変えようと一大決心をし、以前からの知人で経営戦略のプロである人物に、環境変化に対応できる方法について初めて人に相談することにしました。

 

たどり着いたのは「自分らしく今を生きる」こと

松田さんの話を聞いた途端、その知人は「そらそーや」と笑い声をあげた。そして「顕在化しているニーズに応えてるだけやから、そら売れへんわなぁ」と言い放った。そしてアパレル業界のこれまでのあり方や、やり方が、あまりにも業界慣習に縛られ過ぎていることを徹底的に指摘した。その上で、松田さんに鋭くこう質問したのだった。「あなたは事業を通じて何をやりたいのか」「自分がどうありたいのか」

それを聞いて松田さんは、「自分は常々『ファッションを通じてお客様をハッピーにしたい』と思い、実行に努めてきたつもりだったが、『自分がどうありたいか、この事業を通じて何がしたいか』までは考えていなかった。ということに気づかされた。」

それから松田さん自身で延べ400時間くらい考え、2人で80時間ぐらいディスカッションを繰り返した。その問いに対する答えを、きちんと言語化するためにである。

ディスカッションはかなりハードなものだった。

「howばっかりやん」

「やろうとしているのは表面上のことだけやん!」

「それじゃ売れない!」

「お客さんはどう思ってるの?え?聞いてないの?!」

そういった厳しい言葉が容赦なく発せられた。

こういったディスカッションを通じて、松田さんがハッとした大きなポイントが

・業界のやり方や慣習について、なぜそれに固執するのか?

・何を仕入れるかという商品戦略は事業戦略のひとつでしかないということ

・競合優位性を保つためにOEMを増やすのも戦略のひとつだが、たとえ他店と同じ商品を扱っていたとしても、事   業戦略を変えれば何でも売れる。

・事業通じて何をやりたいか?という本質を考えること

これらのことには松田さんは最初からハッとしたのではなかった。相談当初は藁をもすがる思いで、すぐに売れるやり方や、商品構成などのhowを教えてほしいと思っていた。が、そうではないということに自分で考えている中で大きく気づくことになったという。

そしてようやく出た答えが、「私らしく 今を生きる」という言葉だった。「シンプルですが、考え抜いて、自分の中のものを出し切った末に創った言葉です」

その言葉がまさしく松田さん自身の「コアバリュー(もっとも重要な価値観)」でるということに気づいたため、企業のヴィジョン(企業理念)を「私らしく 今を生きる」を応援する とした。それまではそこまで深く考えずに行き当たりばったりにLisaのブランディングを行っていたが、ヴィジョンを据えたことで、それに基づいてすべて一からやり直した。「自分の中には、やりたいこと、できたらいいと思っていることが確かにあったのです。でも実際にどうすればいいのかがわからず、実現することができなかった。それが膨大な時間をかけて考え、話し合ったことで具体的に言語化でき、新しい事業戦略に組み替えることができたのです。」

 

V字改革に向けての変化対応策

実際にどのような変化対応策を講じたのか。

「一番に行ったのは、自分自身の考え方を変えることでした」

松田さんは「うちは服屋ではない。今は得意な服を通じてお客様に幸せを売っているけど、服はツールでしかないと考えるようになった。松田さん自身が事業を通じてやりたいのは「私らしく 今を生きる」を応援する、ということだと気づくことができたのである。

「だから、もしかすると将来的には例えばエステをしたり、化粧品を売ったりするかもしれません」

次に行ったのが、商品構成の見直しである。まず「どんな人がどんな商品を買われているか」を分析した、それをベースに「思いをより強く伝えるために」、OEMで新しくオリジナルブランドを1年間に3つ立ち上げた。それとともに、仕入れ商品も変えた。

3番目に、ヴィジョンをベースにして販促も設計しなおした。SNSでもこれまで以上に親近感が感じられる動画をアップしたり、着こなし提案をより詳しく行うなど。

4番目は採用面についても方針を変え、ヴィジョンに共感してくれる人だけを集めた。求人記事にヴィジョンについても書きこみ、それについて応募者が共感しているかを面接でしっかり見極めた。そのことも含めて人事制度からすべて作り直した。それ以前の採用では人柄にも留意はしていたが、むしろ接客販売のスキル面を重視していた。結果、時間をかけて計5人を新たに採用することができた。

最後に、この事業で自信が大切にしている事を全員に踏襲させるため、定期的にスタッフの勉強会も実施している。

それらの変化対応策を実施したことで、顧客の反応が変わった。松田さんやスタッフ達の発信する「ヴィジョン」や「想い」が伝わり、全国から「会いたい」というコメントが寄せられ、実際に北は関東、南は九州からもLisaを訪れるためだけにわざわざ遠方からお客が来るようになった。ネットショップの売上も急伸し、対応策のすべてが相乗効果を生み、ネットとリアルの両方で急成長しているのが現状だ。

また今回の変革によって、近隣地域の人たちも呼び込めるという効果もあった。今の場所で23年営業しているので、Lisaの存在を知っている人は少なくないが、店の内容までは知らない人が多かった。そんな人たちがSNSでLisaのよさを再認識し、顧客になったのである。

松田さん自身の考え方を変えることからスタートした変化対応策は、「昨年1月から仕込んで、9月にようやく結実。そこから毎月、売上を更新しています」と、大きく実を結んだ。先述の通り、24年度は対前年比250%、年間売上高1億円という驚くべき数字をはじき出している。

地域の小規模店舗においても、明快な現状分析に基づいた戦略策定が重要なのである。

最後に松田さんからのメッセージは「じぶんもそうでしたが、昔はよかった、などと過去にすがりついてしまうことってよくあると思います。でも今回、自分が一から始めるつもりで、また頑張りなおそうと思いました。」「常に謙虚であること、常に挑戦すること、今の自分や店が常に最高と思えるかどうか、と同時にその最高と思われるときでも常により良くなる方法はないかと模索し続けることが大事だと思います。」

 

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